結論
書かせない。喋らせる。撮りっぱなしで、QRで貼る。
5〜6年前の動画が止まったのは、撮り方のせいではありません。編集が重く、見る場面が決まっていなかったからだと考えています。
今は、質問はAIが出し、ベテランは話すだけ、動画は30秒の撮りっぱなしで済みます。
新工場で人が入る日が締切です。そこから逆算すると、危ない技能の上から、今月撮り始める必要があります。
1. 技能マップの見方と、危ない技能(例)
人 × 技能の星取表を作り、点を付けます。できる人が1人だけ=2点、その人が55歳以上=1点、事故につながる=1点、誰もできない=3点。
| 技能 | 持っている人 | 点 | 理由 |
|---|---|---|---|
| クレーンの合図 | Bさん(61) | 4 | 1人だけ・55歳以上・事故 |
| 重量物の反転 | Bさん(61) | 4 | 1人だけ・55歳以上・事故 |
| 上向き溶接 | Aさん(58) | 3 | 1人だけ・55歳以上 |
| ひずみ取り(焼き) | Aさん(58) | 3 | 1人だけ・55歳以上 |
| 図面の読み(展開) | Hさん(56) | 3 | 1人だけ・55歳以上 |
| ガス切断/プレスブレーキ曲げ | Cさん/Dさん | 3 | 1人だけ・事故 |
アプリの「技能マップ」で人の名前を押すと、「この人が辞めたら止まる技能」が出ます。
2. 承継の流れ
| 段 | だれが | アプリの画面 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ① 聞く | 見習い(聞き手)・ベテラン(語り手) | 聞く(音声) | 端末が質問を読み上げ、答えは声で文字になる。「感覚」「経験」「場合による」は食い下がる |
| ② 撮る | 見習いが撮る・ベテランは手を動かすだけ | 撮る(撮影コーチ) | 明るさ・ぶれ・向きをその場で直す。引き→手元→失敗と確認で30秒 |
| ③ 手順書 | 見習いが整える・ベテランが1回だけ見る | 手順書 | 聞き取りから下書きを自動で作る。仕上げは Claude に渡す |
| ④ QR | 事務 | QRラベル | クレーンのペンダント・溶接機・材料の置き場に貼る |
| ⑤ 使う | 見習い | 手順書のチェック | 2回合格で「できる」に上がり、星取表が変わる |
3. 「新人がよくやる失敗」を聞く質問(10問)
コツを語らせると長くなります。失敗を聞くと短く、撮りやすく、効きます。
- 新人がこの作業で一番よくやる失敗は何ですか
- その失敗に、新人はいつ気づきますか。本当はいつ気づくべきですか
- これまでで一番ヒヤッとしたのは、どんな時ですか
- 始める前に、必ず見るところはどこですか
- 途中でやめる・やり直すのは、何を見たときですか
- 調子が悪いとき、音・匂い・手ざわりで何が変わりますか
- なぜその順番でやるんですか。逆にするとどうなりますか
- 新人に一言だけ言うなら、何と言いますか
- 昔、自分が教わったことで、今でも守っていることは何ですか
- この作業で、絶対にやってはいけないことは何ですか
食い下がりの言葉:「経験です」→「では、経験の浅い人が一番よく間違えるのはどこですか」/「感覚ですね」→「その感覚は、目で分かりますか、手で分かりますか」
4. 最初の30日:撮る10本
| 週 | 撮るもの | 撮られる人 | 撮る人 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 1週目 | クレーンの合図/重量物の反転/玉掛け | Bさん | 見習いFさん | 1本 15分の聞き取り+30秒の撮影 |
| 2週目 | 上向き溶接/ひずみ取り/下向きすみ肉 | Aさん | 見習いGさん | 同上 |
| 3週目 | 図面の読み(展開)/けがき | Hさん | 見習いFさん | 同上 |
| 4週目 | ガス切断/プレスブレーキ曲げ | Cさん・Dさん | 見習いGさん | 同上+QRを貼る |
1本あたり、ベテランの時間は15分の話と30秒の作業だけです。10本でも合計3時間に届きません。
5. 止まった動画の生かし方
- 捨てない。まず全部を一覧にして、今も同じやり方かをベテランに1本1分で見てもらう
- 今も使えるところだけを30秒に切り出し、QRを付けて貼る。編集はこれだけ
- やり方が変わっていた動画は「昔と今で何が変わったか」を聞く材料にする。変わった理由が、いちばん残したい知恵
- 撮り直すときは「上手なやり方」ではなく「新人がやる失敗」を先に撮る
続けるコツは1つだけ。見る場面を先に決める(QRを貼る場所を決めてから撮る)。
で、今日から何をするか
星取表を1枚作り、赤い技能の一番上を、15分だけ聞きに行く。スマホを机に置いて「メモが追いつかないので」と言うだけです。