AI利用ルール、ありますか?
手元の Excel や Word を渡して、「このファイルをアプリにしてよ」と頼むだけ。プログラムは書きません。AI に日本語で頼みます。

「AI、社員に入れました」「で、利用ルールは?」「……ないです」。
これが、面談でいちばん多いやり取りです。AI を社員にばらまいた人ほど、社員が何をやっているか分からない。 ダメなファイルを上げているかもしれないし、お客様の名前を入れてチャットで聞いているかもしれない。分からないまま、人数 × 月3,000円 が出ていきます。
このページは、世の中の「AI利用ルール」に何が書いてあるかを集めて、ルールを書かずに済む方法まで書いたものです。
世の中の数字(2026年)
| 数字 | 中身 | 出どころ |
|---|---|---|
| 31.9% | 会社に AI のルールが無く「個人の判断に任されている」 | スマートキャンプの調査(2025年12月、企業勤務者 9,734名) |
| 14.4% | 会社は未導入だが、個人で無料版などを業務に使っている | 同上 |
| 46.5% | 管理職のうち、会社が認めていない AI を使っている(「シャドーAI」)。一般社員は 38.1% | AI白書2026(パデコ、310社) |
| 46.9% | AI の利用ガイドラインを整備している会社 | 同上 |
ルールを作る側の管理職の方が、認めていない AI を使っている。ルールは、読まれているあいだしか効きません。
世の中のルールに、何が書いてあるか
公開されているひな形(日本ディープラーニング協会の「生成AIの利用ガイドライン」、東京都の「文章生成AI利活用ガイドライン」、SaaS 管理会社の雛形など)を並べると、項目はだいたい同じです。
| 項目 | 書いてあること |
|---|---|
| 入力してはいけない情報 | 個人情報、パスワードなどの認証情報、営業秘密、未公開の財務情報、顧客情報、秘密保持契約の対象、承認の無い社内限定情報 |
| 使ってよい AI | 会社が審査して認めたものだけ。取引先名・人名は伏せて入れる |
| 出力の確認 | 事実・数字・法令・著作権を人が確かめる。社外に出す前は人が最終判断 |
| 承認が要る用途 | 社外公開、契約書、採用、価格決定、発注 |
| 報告 | 誤入力・誤送信・未承認ツールの使用・異常な出力は、すぐ報告 |
| 違反 | 再教育、権限の変更、就業規則に基づく対応 |
| 見直し | 四半期ごと。改定の履歴を残す |
どのひな形も、中身の半分以上が何を入力してはいけないかです。
社員に渡しているのは「何でも入力できる道具」なので、入力を縛るしかない。
研修をして、監視をして、四半期ごとに見直す。ルールを守らせる仕事が、一つ増えます。
因数分解:AI を「配る」のか、アプリを「作って配る」のか
AI の導入は、2つに分かれます。
| AI を社員に配る | アプリを作って、社員に配る | |
|---|---|---|
| 社員が触るもの | チャット(何でも入れられる) | アプリ(押すところしか無い) |
| 本物のデータ | 社員が貼る。何を貼ったか分からない | AI に見せない。 できたアプリに、後から自分で読み込む(読み込みはブラウザの中だけ) |
| ルール | A4 一枚+研修+監視+見直し | 作る人にだけ要る。 使う人には要らない |
| AI の契約 | 人数 × 月3,000〜3,750円(ChatGPT Business 1人 25ドル、Claude Team 1人 20〜25ドル。1ドル150円で換算) | 作る人の数 × 同じ額。 使う人は 0 円 |
| 社員20人なら | 月 6〜7.5万円、年 70〜90万円 | 月 3,000〜7,500円(作る人が1〜2人) |
料金は変わります。Claude の料金・ChatGPT の料金を確かめてください。
アプリは、見出しの行だけ残した「空のエクセル」から作ります。AI が見るのは列の名前だけ。本物のデータは、できたアプリに自分で読み込みます。作り方は「7. 自分のファイルをアプリにする」の 7-5、置き場所の考え方は「セキュリティについて」にあります。

実例
講師の会社は、Excel を全部アプリにしました。私はもう Excel を開いていません。
社員に AI は配っていません。配っているのはアプリです。AI の契約は、作る人の分だけです。
「同じ項目を、何度も書き写している」仕事が消えたのは、そのついでです(アプリにするメリット)。
問い
あなたの会社で、AI に貼られていちばん困るファイルは何ですか?
給与台帳、顧客名簿、見積の原価、銀行とのやり取り。
それを「貼るな」と書いて守らせるのか、最初から貼れない形で渡すのか。
利益と回収
- ルールを書く・研修をする・監視する・見直す、の工数が消える
- AI の契約が、人数分から作る人の分だけになる
- 社員は AI の使い方を覚えなくてよい。アプリを開くだけ
20人の会社で、年 70〜90万円の差です。講座代は、ここから出ます。
それでも AI を配るなら、A4 一枚(アプメイク版)
作る人が1〜2人なら、ルールはこれで足ります。
- 社員に配るのはアプリ。AI を使うのは、アプリを作る人だけ
- 作る人は、**空のファイル(見出しだけ)**で作る。本物のデータを AI に渡さない
- 本物のデータは、できたアプリに読み込む。読み込んだデータは外に送らない
- 分からないことは、AI ではなく人に聞く(作る人に頼む)
- 四半期に一度、作ったアプリと、AI を使っている人の一覧を見直す
頼み方
うちは〇〇業で、社員は〇人です。AI を使うのはアプリを作る2人だけ、社員にはアプリを配る前提で、A4 一枚の AI 利用ルールを作って。入力してはいけない情報の例は、うちの業種に合わせて
このルールの前提で、社員に AI を配らずに済ませられる業務を3つ挙げて。それぞれ、どんな空のエクセルを用意すればアプリにできるかも
で、今日から何をするか
AI を配る前に、Excel を1枚コピーして、見出しの行だけ残してください。
それを「アプリにしてよ」と頼む。ルールを書くのは、そのあとで足ります。
アプメイク